はじめに
最初に言っておくが僕は飛行機が嫌いだ。だってあんな何十トンもある鉄の塊が時速何百キロで空を飛ぶんだぜ。しかも動力はエンジン2つ。たった2つぶっ壊れたらそれはすなわち死。「ハドソン川の奇跡とかあるし、死ぬわけじゃない」という輩がたまにいるが普通は死ぬケースの中で偶然生き残ったから奇跡なのであって、普通は死ぬということに変わりはない。とにかく僕は飛行機が嫌いだ。乗るだなんて怖くて怖くて仕方がない。
なぜ僕がそこまで飛行機を忌み嫌うかというと小学生の頃にあの御巣鷹山の事故の操縦席の音声をTV番組で聞いてしまったからであって、今思うとあの音声をそっくりそのままTV放送したのはなかなか常識外れというか不謹慎なモノだが、それを聞いた当時11歳の洟垂小僧は一生飛行機には乗るまいと心に決めたのであった。父親が鉄道好きの影響で子どもの頃から鉄道に乗りまくっていたし、関東に住んでいる限り移動は基本電車で事足りるし、生まれは山形だが帰省の際は新幹線を使った方が遙かに便利で早いので、幸いにもその誓いは先週まで破られることはなかった。中学・高校で飛行機に乗って海外や沖縄などに行った人も世の中には多いようなのだが、残念ながら僕の学校はくたびれた築五十数年のオンボロ高校だったので当然そんな予算はなく、中・高ともに新幹線による京都旅行だった。京都は結構好きな都市なので別に行くのはやぶさかではないが、海外に修学旅行で行って異国の地で青春の1ページを残すというのもせっかくだからやりたかったなと、この前けいおん!の映画を見て思ったのだがそもそも僕は男だし、高校時代に青春のせの字も存在しなかったし、海外に行ったところでマズい飯を食って帰るだけの旅行になったであろうことは想像に難くない。何しろ飛行機乗るし。
とにかく、このまでの僕は鉄道最強説を主張して一生国内移動は新幹線もしくは船でまかなっていこうと確固たる決意を持っていたのである。
しかし、表題の通り、つい先日飛行機に乗ってきた。乗ってきたということは無事死なずに着陸したというわけで僕が杞憂していた墜落事故なんてモノは起こらなかったのだが、いやもしかしたら墜落して今こうしてしょーもない文章を打っている僕の意識は走馬灯か何かなのかもしれないと厨二病的なことを思いついたが、どんなことはどうでも良い。僕は今までの人生で怖いと感じたもの全てを恙無くスルーして来たので(ジェットコースターには小さい頃一度乗っただけだしホラー映画は見たことがない)、世界一乗りたくないと昔から口がすっぱくなるまで言っていた飛行機に乗るのは明日と言わず今日この瞬間に晴れ空から雪がドカドカ降ってくるようなほど希有な行為であり、いや今すぐ雪が降ってくれればフライトが中止になるはずなので降るもんならどうぞお降り下さいと天に住んでる天照大神だか月読命だかに頭を下げてお願いしたいのだが、とにかく俺が飛行機に乗るなんぞ超珍しいことなわけなのである。ではなぜあそこまで怖がっていたのに乗ったかというと、まあいろいろな要因はあるのだがLCCが安かったからで、結局世の中金だよなぁとつくづく現代社会に嫌気が差す。
月曜から木曜にかけて京都へまた旅行に行ってきたのだけれど(またというのは今年の夏に1週間似たようなルートで旅行をしたからだ)、その帰りの移動手段で迷った。夕方まで観光する予定なので僕がいつもやってる青春18切符でのろのろ帰ってくる手段は使えない(しおすすめもしない)ので、選択肢は新幹線か飛行機(LCC)になった。前述の通り鉄道最強説を毎日のように唱えている僕からしたら新幹線一択と言いたかったのだが、何しろ新幹線は高い。皆さんの金銭感覚はどんなもんか知らないけど、貧乏学生(主に無駄遣いが原因)である僕に14000円を移動費としてポンと出せというのはちとつらい。僕のお財布はどうも口を開けてくれなさそうだった。そこで考えたのがLCCというわけ。どうやら調べたらPeachというLCCだと関西空港ー成田空港間を4000円ぐらいで移動できるらしい。成田も関空も都心から遠いがまあそこはゆっくり移動すれば良いから別に気にならない。それにしても安い。新幹線の30%で移動できるのか。うーん、どうしようか・・・。と数時間悩んだあげく、結局飛行機のチケットを買ってしまった。すまん、小学生の時の俺。おまえの一生の誓いは10年も経たずに破られる。
というわけで飛行機処女をつい先日捨ててきたのでその感想を書いていきたいと思う。ちなみに「飛行機処女捨てた」と友達に言ったら「童貞を早く捨てろ」と突っ込まれました。現場からは以上です。
搭乗手続きへ
今回取ったのはPeachのPM8:10離陸(なんだこの時刻は。たまげたなぁ)の関空ー成田便である。事前にインターネットで席を予約した。いろんなプランがあったがよくわからなかったので一番安いプランにした。シンプルPeachって奴である。のちのちこれで困ったことになるので一番高いプランにしておけば良かったのに、貧乏性極まりって感じである。飛行機に乗るのは初めてだったので搭乗手続きについて調べてみたところ、1時間前には空港に着いていることが望ましいのだそうだ。なるほど。関空自体行くのは初めてなので念のため2時間前に行っておくか。ということで、関空には6時頃についた。関空には南海鉄道とJR東日本西日本が乗り入れているが僕は18切符があったのでJRを使った。まあどっち使っても大して変わらない。
駅に到着。南海とJRで連絡橋は共同利用しててホームは別なのね。面白い。
折り返し大阪方面に向かうらしい。
で、駅を出るとT1とT2との案内がある。LCCターミナルは第二なので右へ曲がる。
第一ターミナルは左曲がるとすぐ建物があるのだが、第二ターミナルはそうはいかない。まず商業施設の中を通りその先にある乗り場からバスに乗り、5分ほど揺られなければターミナル2にたどり着けないとのこと。なんでそんなところにターミナルなんぞ作った。LCCに乗る貧乏人は遠くでいいやということなのだろうか。ごもっともですけど。
ということでバス乗り場へ向かう。
正直案内表示はあるもののめちゃくちゃわかりにくい。まず駅から長い歩道を通って商業施設の中を通り、左に曲がってまっすぐ進んでエスカレータを降りなければバス乗り場にはたどり着けない。何も調べずに関空に来たら間違いなく迷う。調べても迷った。
で、バス乗り場。夜ということもあってスッカスカだった。数分待つとどどでかいバスがやってくるのでそれに乗り込む。
南海のバスだった。
そこからバスに揺られること7,8分。ついに第二ターミナルに到着。バス乗り場をなかなか見つけられなかったのもあってもうこの時点で駅到着から20分も経っていた。結構かかるな。
で、降りたすぐ先にPeachのカウンターがあるのでそこで搭乗手続きを済ませなければならないのだそうだ。僕はその瞬間まで搭乗手続きと保安検査の区別がよくわかっていなかったので、搭乗手続きをした瞬間に手荷物検査をされるのだと考えていたらどうやらそうではないらしい。この日記を読んでいる飛行機童貞の諸君に私の付け焼き刃的知識をレクチャーすると、搭乗手続きは鉄道で言うところの乗車券発行で、保安検査は改札通過みたいなモノらしい。搭乗手続きをした後に空港から外に出ても何してもいいらしい。世の中的には常識なのかも知らないが残念ながら全く知らなかった。
で、話は戻って搭乗手続きに入る。
こういう自動チェックイン機があるので予約した際に届くメールに記載されているQRコードを読み取り部分にかざすと搭乗券(?)が自動発行される。システム的には映画館のそれとほぼ同じである。
で、搭乗手続きしたのはちょうど搭乗90分前(90分前から25分前じゃないとできないらしい)だったので、搭乗までかなり時間がある。保安検査場は20分前に通過すれば良いらしいから1時間以上も余ってしまった。
関空でお土産でも買うかと思ったが一つ気になったことがある。それが手荷物の重さである。シンプルピーチというプランは受託手荷物の預け入れができないので機内持ち込み手荷物7kgに全所持品をまとめなければならんらしい。7kgって結構あるし、俺が今背負っているリュックは極力荷物減らしている(少しの小銭と明日のパンツさえあれば生きていけるという信念の元荷造りをした)のでまあ5kgは下回っているだろう。問題はあとどれだけお土産を買えるかである。お土産をたんまり買った結果、7kgオーバーしカウンター前で京ばあむを一人虚しくむしゃむしゃ食うなんてまねはできればしたくない。ちなみに搭乗時に別料金を払って荷物を預けることもできるがなんとそのお値段2800円くらい。高スギィ!
チェックインカウンター近くに秤がいくつか置いてあって重さを事前に量れるらしいのでリュックと大阪で買った土産物と首にかけていたカメラを載せてみた。さて、あとどのくらい余裕があるのか・・・
7.38kg。
・・・
・・・
・・・
いや超えてるじゃねえか。
待て待て待て、7kgってこんな軽かったっけ?考えてみれば明確に7kgというおもりを持ったことはないし、背中にリュックを背負っていたからあまり重さを感じていなかったのかもしれない。どうするか。たかがリュックに3000円もかけて預けるか。そこまで重要な物入ってないぞ。多分服やら旅行用品の購入金額を合わせても3000円までには達しないだろう。じゃあ捨てるか?いやそれもそれで困る。明日から履くパンツがなくなってしまう。うーむ、どうするか。
と、悩んだ結果、宅配便で送るという名案を思いついてしまった。ゆうパックなら段ボールさえあればローソンから送れるし、値段も安いし、到着時間も指定できる。いや、俺天才だわほんと。
ということでこのほんとに送る価値があるのかと悩むくらい邪魔な文字通りお荷物どもを家に送り出すためせっかく来た第二ターミナルを離れる。帰りも同じバスで5分ほど揺られて駅まで舞戻ってきた。
で、荷造りしようと思うのだが、まずは段ボールを入手しなくてはならない。国際線ターミナルの近くに荷物発送カウンターがあり、そこで段ボールを売っているとのことで第一ターミナルをうろうろしてみたのだが残念ながらそのカウンターとやらは見つけられず。ていうか迷子になって20分も無駄にしてしまった。しまった。
とりあえず駅まで戻って良い方法を考える。そういえば関空から本土に出てすぐにりんくうタウンというショッピングモールがあることを思いだした。今年の夏行ったなそういえば。確かあそこには100均があったはずだしあそこに急いで行けばいいのではないか。というわけでJRに乗ってりんくうタウンまで行く。一駅。かかった時間は5分くらい。この時点で保安検査場締め切りまであと30分を切っており、もう間に合わないのではないかという気がしてきた。急ぎすぎて写真は一枚たりとも撮っていない。
駅から7.38kgの荷物を背負いつつ猛ダッシュしてりんくうタウン東口の建物にあるセリアに駆け込み、段ボールを購入。今年の夏にシャムさんの聖地巡礼とか言ってうろうろしたおかげで道は覚えていた。
で、適当にリュックの中身を段ボールに詰め込み、同じくセリアで買ったガムテープで封をして改札前のローソンに持って行った。このあと東京に着いてから家に帰るまでに雨に降られたから折りたたみ傘まで送ったのは失敗だった。が、そのときはもう時間がないから急ぐという事しか考えていなかったからしょうがない。
僕みたいな人は結構いると思ったのでてっきりスムーズに発送できると思ったらローソンの店員さんはあまりゆうパックの発送に慣れていなかったらしく、結構時間がかかった。買った段ボールの大きさが思った以上に大きかったらしくて1400円ぐらい発送料がかかった。まあカウンターで預けるよりは安くすんだから良いか。
で、そこから超軽くなったリュックを背負い、関空まで戻る。たまたまホームに滑り込んできた電車に飛び乗った。保安検査場通過まであと15分しかない。これ間に合わなかったらどうするんだろ。いやどうするも何も大阪に取り残されるだけか。明日は普通に朝から用事あるし、のりそびれたらそれこそ新幹線を使うしかない。個人的にはそっちの方が琴線に触れるのだが残念ながら財布の怒りにも触れそうなのでどうにか飛行機に搭乗したい。どうか間に合ってくれ。さっきは本土から関空ってすぐなんだなーとか思ってたのに連絡橋を渡る時間がやけに長く感じた。
着いた瞬間階段を猛ダッシュで駆け上がり、バス乗り場へ走る。が、目の前でバスが出発してしまい取り残されてしまった。やっちまったぜ。さすがに第二ターミナルまで走る気力も知識もないので次のバスまで待つことにする。すぐ近くの商業施設にお土産屋があったので適当に土産物を買った。ここ大阪なのに普通に京都の漬物とか京ばあむやらが売っていて何だかなぁと思ったが、まあ今の時代Amazonで八つ橋が買える時代だし、正直そんなのどうでも良いのかもしれない。京都に行ってきた&京都名物を土産として渡すという行動が大切なのだと思う。多分。そんなことを考えつつバス乗り場で一人突っ立ってた(なぜかほかの客はいなかった)らバスがやってきたのでそれに乗り、こんなどでかいバスに乗客一人だとなんだか身分が高くなった気がするなぁと露骨に貧乏人的思考をしていたがよく考えてみると保安検査場締め切り目前だったから乗客が少なかったのかもしれない。そして身分の高い時間を5分ほど過ごして人生二回目の関西国際空港第二ターミナル到着。時間なんと締め切り5分前。危なかった。
搭乗へ
さっきのチェックインカウンターの横に保安検査場があって、ここで手荷物検査をしてるのだそうだ。機械の前には行列ができていてこの検査の列に並ぶ際に手荷物の重さを量られる。さっき服やカメラ用品は置いてきたので私の手荷物はカメラとスマホと京都土産(京都で買ったとは言ってない)しかないので7kgは絶対にオーバーしてない。ということでドヤサァと計量計にリュックを下ろしてみた。5.5kg。うん、軽いね。そこに首から掛けていた一眼レフも置こうとしたら「あ、カメラとスマホは大丈夫です」と言われて重さチェックは終わった。あ、そうですか。そりゃどうも。………ん?ちょっと待て、このカメラの重さは400gだぞ。これが手荷物に入らなかったらさっきの宅急便送る前の手荷物の重さは6.98kgになる。おいおいおい、ゆうパック送る必要も送るためにりんくうタウンの中を駆け回る必要もなかったじゃんか。まあ、そのおかげでお土産買えたから良いか。Peachは首から掛けているカメラの重さは量らない、これ覚えておこう。
で、お次は身体検査と手荷物のX線検査である。特にやましいこともしてないので指示通り手荷物と上着を脱いでカゴに乗せ、x線探知機に通す。で、完全手ぶらになった僕は金属探知機と思わしきゲートを何事もなく素通りし、保安検査場を難なくクリアした。今まで空港密着24時みたいなTV番組で保安検査場は怖いところみたいなイメージが頭の中に植え付けられていたので想像以上に簡単だった。ただ、手荷物をカゴに乗せたり上着を脱いだり着たりするのに皆さん結構時間がかかるので保安検査場抜けるのにも5分ぐらいかかった。新幹線の改札の気軽さとはえらい違いだ。ちなみにそれを飛行機信者友人に言ったら「だから新幹線は刃物男とか灯油男が現れるんだ。危険ったらありゃしない」なんだそうだ。データを用いて反論させていただくと新幹線は東海道新幹線だけで1日約370本走っているわけで、そういうテロ的行為が行われるのは本当に天文学的な確率でしかなく、それを危険と言うのであれば銀行行くのは銀行強盗に襲われて死ぬ可能性があるから危険だし、外歩いたら車に轢かれて死ぬから危険だしと言ったように何もできなくなる。…と言ったら「そんなこと言ったら飛行機だって同じくらいの確率でしか事故を起こさない」とのこと。いやいやいやいや、そもそも新幹線は自発的事故を一度も起こしたことがなくてだな(正真正銘事故率0%)、ぽんぽんバードストライクやら機材故障やら起こす飛行機とはまさに雲泥の差であって…と言ったところで友人がまた反論してきそうだったからこの不毛な会話はやめた。俺とお前は戦うことでしか分かり合えない(ジョーカー並感)。
で、無事保安検査場を通り抜けると待合室みたいな所に出る。今回は時間がなかったのでそのままスルー。待合室の奥の方にある入り口でスタッフが立っていて「8:10発の成田空港行きはこちらです」とアナウンスしていたので、その指示に従い待合室から乗り場へ。映画のもぎりみたいな感じで搭乗券を確認されるのでそれを提示する。
で、それもクリアするとついに外に出る。うわっ寒。海がすぐ近くにあるからかものすごい寒い。こんな所を客に歩かせるのか。まあそこら辺が安さの理由なんだろうな。
で、少し歩くと・・・おお、見えてきた見えてきた。あれが今日乗る飛行機か。
ん?なんか小さくね?今まで飛行機というモノを間近で見たことがなかったので飛行機の平均サイズがよくわからないのだけど、もしかしたら小型機とかいう奴なのかもしれない。知らんけど。
はえーかっこいい。この写真を友人に見せたところ鼻がANAだかなんだかのモノでレアな機体だとか言っていた。よくわからんけどなんかラッキー。
搭乗、そして離陸。
ほかの搭乗者に続いていよいよ飛行機に乗り込む。さて、一時間後の僕は無事この階段を降りてこれるのだろうか。
機内に入って一番最初に思ったことは狭いということだった。人が超狭い空間に押し詰められている。ANAとかJALに乗ったことがないからわからないけど、これは飛行機業界の常識なのだろうか。だとしたら異常に狭い。新幹線に例えて言うならばE4系の自由席の2階席みたいな狭さだ(わかる人にはわかる)。
僕の席は3列あるうちの一番内側だったのだが、手前2席にはもうサラリーマン2人が座っていた。すみませんと声を掛け奥の席に座ろうと思ったのだがいかんせん狭いので足をいくら縮めてもらっても通れそうにない。仕方ないのでサラリーマンのおっちゃん2人にいったん通路に出てもらい、席まで通してもらった。なんか本当にすみません。
乗ったのはちょうど最後の方だったので座ってからほんの2分くらいで搭乗を締め切ったらしい。それにしても狭いなぁ。そこら辺のグリーン車の方が椅子と椅子の感覚広いぞ。LCCだから仕方ないのかもしれないけれど、足をほんの少しも伸ばせないのはちときつい。まあ1時間強だから我慢するしかないか。
搭乗を締め切った後は客室乗務員さんによる緊急時の脱出方法だとかスマホを機内モードにしろだとか説明があった。全部日本語で言っていたけど、外国出身と思わしき方もちらほらいたし、あんなに適当でいいんかね。
いよいよ出発
さらば大阪。また夏に訪れたいなぁ。
当たり前だがヘリコプターではないのでこの飛行機はその場からすぐ飛び立てるわけではなく、まず滑走路へ移動しないといけないらしい。のろのろと飛行機が動き始めた。時速2/30km程度だろうか。まあ乗り心地は車みたいなモノだった。それもそのはずでタイヤを通して移動しているわけで。
のろのろと10分ほどかけてどうやら滑走路に到着したらしく、飛行機が一時停止した。いよいよ飛び始めるらしい。緊張で俺の脈も飛び始めた(不整脈持ち)。
と思ったらなかなか動かない。え?なになに?どうした?バードストライク?と、その瞬間、ゴオオオオォォォォォォと真横のエンジンがすごい音を出して飛行機が剛速球で走り出した。うおっ、何じゃこりゃ。クソ早い。しかもなかなか離陸しない。まてまてまて、こわいこわいこわい。するとすぐにガタガタ揺れていた機体がちょっと安定した。どうやら離陸したらしい。
よし、なんとか離陸時に死なずにすんだぞとほっとしたのも束の間、隣でブーブーブーブー!と警報音が鳴り始めた。あっ、死んだ(昇天)
というのは早とちりで、隣に座っていたサラリーマンと思わしきおっさんが警報音を放つスマホを持ちながらあたふたしていた。画面を見ると移動速度を測る僕もよく使うアプリが表示されていた。どうやら飛行機の速度を測りたかったらしい。わかる、わかるぞその気持ち。俺も速い電車とか乗ったときよく起動するもん。しかしおっさんは隣に座っている飛行機童貞が共感を強烈に覚えていることなど全く気づかないようでいきなりスマホから警報音が発する等思っていなかったらしくテンパっていた。10秒ぐらい警報を止めようとポチポチやっていたがついにはスマホの電源を切って強制的に警報音を止めていた。画面に表示されている速度は見えなかったが何やら数字が赤く表示されているのだけは目の端に捉えられた。早すぎると警報音が鳴るんだなぁ。初めて知った。
それから20分ほどは特に何もなかった。和歌山の夜景が少し見えたがすぐに窓の外は真っ暗になってしまった。どうやら海上を飛び始めたらしい。せっかくなんだから夜景の一つや二つ見てえなぁ。
そこから40分は特に特筆すべき点もない。離陸してから10分ほどでシートベルト外して席から立ってもOKというアナウンスがあったがまた隣のおっちゃん2人にどいてもらうのも申し訳ないし、特に立つ理由もないのでじっと座っていた。特にやることがなかったのでスマホのKindleアプリに入っていたラノベを読んでいた。こういうときに電子書籍は強い。電波届かないところでもスマホの電源さえ入れば好きな本が読める。
そこからすぐに、機内食の販売が始まった。僕は新幹線に乗ったときは必ず例の難いアイスを買うことにしているのでここでも買わないという手はない。座席のネットに入っていた機内食お品書きを見るとPeachだけに桃味のアイスがあるらしい。なるほど、見せてもらおうか、飛行機のアイスの堅さやらを。機内食のカート持ったCAさんは前から超ゆっくり進んでくるのだが、注文されるたびにいちいちバックヤードに戻って食事や飲み物を運んでくる。じらすなぁ。早く来ねえかなぁとキョロキョロしていたら、なんと機内販売はたった開始5分ほどで終了してしまった。まだ前5列も進んでない・・・。というわけで飛行機のすごい固いアイスと相まみえるのは延期となった。
余談だが、普段コンビニでアイスを買おうとすると250円のハーゲンダッツがすごく高く感じるのに、新幹線だと300円超えのアイスをバンバン買ってしまうのはなぜだろう。その場所の雰囲気に飲まれるって感じかな。ちなみに僕のお気に入りのアイスは上越新幹線内で買えたお米味のアイスである。今買えるのかは知らないが、乗った際には是非食べてみてほしい。それとE4系の二階建て自由席はおすすめしない。
成田よ、私は帰ってきた!
閑話休題。
機内食販売が終わって落胆したのも束の間、もうすぐ成田に着くらしい。え?早くね?まだ1時間も経ってないのに。またシートベルトをしろとの指示があったのでちゃんと閉まっていることを確認して、スマホをポケットにしまった。まだ1章も最後まで読んでないのに。
成田空港から自宅の最寄り駅までの最短ルートを考えていたらガタガタガタと機体がすごい揺れ始めた。あっ死んだ(昇天)。
CAさんのアナウンスによると「機体が気流に突入しておりますが運行に支障はございません」とのことだった。いやいやいや、どう見ても支障あるでしょ。少なくとも僕の安心感には支障がある。そのまま大本営発表を聞いた戦場最前線の陸軍兵士みたいな心持ちで墜落すんじゃねえかと10分ほどオドオドしていたらスッと揺れが収まった。それと同時に下の方にかすかに夜景と思わしき光が見えた。成田も近いとみたね。もうちょっと派手なものかと思っていたのだが、夜景は窓の外にポツンポツンと光が見える程度である。千葉って田舎だなぁ(埼玉県民並みの感想)。
そこから徐々に高度を落としていき、ついに着陸の時。緊張の瞬間である。ドォンガタンと大きく揺れて飛行機が着陸した。それと同時にエンジンがまたゴォォォォォと音を立てた。もうちょっとスッと着陸するのかと思ったら結構揺れてうるさかったので驚いた。
着陸してすぐ降りるという訳にももちろんいかないのでのろのろと滑走路を移動した後10分ほどかけて停止した。なんとか生きて帰ってきたらしい。
そしてCAさんによる締めの挨拶があった後、一番前の席の人たちから下車(というのはちょっと違うか)し始める。ここからもまた面倒で、一人一人よっこいしょと荷棚から荷物を下ろしていくもんだからやけに時間がかかる。新幹線と大して高さも変わらないのに何でこんなに遅いのかなと考えたところ、新幹線は駅に着く前に荷物を下ろしてハッチで待機しているというのが常識化ししているところがあり、大して飛行機はこのように機体が完全に止まって許可が下りてから荷物を取り出すわけで、そりゃ時間かかるよなと。まあ安全的に仕方ないにしてもどうにかならんのかこれは。
膝にかけていたダウンを着て、リュックを下ろして、スマホを少しいじって・・・みたいな感じでグズグズしていたらいつの間にか最後の方になっていた。
そのおかげでこんな写真が撮れたぜ。
前述したとおり、椅子と椅子の間と通路がびっくりするぐらい狭いのが見て取れると思う。
成田から
飛行機から降りてすぐ電車に乗り換えというわけにももちろん行かないというのはここまで読んでいただいた方ならもうおわかりだと思う。
飛行機から降りたら地面がぬれていることに気づいた。ちょっと小雨まで降っていやがる。そういや傘はどこにやったかなと思ったらりんくうタウンにおいてきたのだった。最寄り駅から家までは歩きなので雨よ止んでくれと祈りつつ、前の人にくっついていくとなんだか長い通路を歩いていた。こっちが駅方面らしい。
お世話になりました。
この通路がまたやけに長くて、歩くのに10分ぐらいかかった。セグウェイがほしいね。
で、すっかすかの荷物受取所を通過し、無事でかいターミナルに着いた(名前は知らん)。この時点で大体10時。
ターミナルの案内表示に従っていたらすぐに駅までたどり着いた。18切符をもう切ってもらっていたので主流の京成ではなくJRで家まで向かう。え?なんで早くて快適な京成を選ばないかって?だって京成高いんだもん。家まで帰るのに1000円ぐらいかかる。でも18切符はもうスタンプ押してもらったからここからいくら乗っても実質無料みたいなもんで、そしたら時間かかってもJRの方選ぶでしょ。ケチ?モノ好き?なんとでもいいんしゃい。
ということでJRにて帰宅。なんと次来る電車で終電だったため成田空港観光はなし。そりゃ京成のほうが圧倒的に早いし、儲からないのもわかるんだけどさ、もうちょっと繰り下げても良いんじゃないJRさん?
ここからどれだけかかったか言うと自宅がモロバレなので濁しておくが、まあ日付が変わったあたりに家に帰った。よかった五体満足で家に帰って来れた。
結論:できれば新幹線に乗りたい
今回人生で初めて飛行機に乗った感想としては「怖かったけど思ったより怖くはなかった。それより面倒&時間がかかる」というもの。
まあそれこそ飛行機=特攻機みたいな考えだった私からすれば思った以上に飛行機自体は怖くなかったし、機体がグワングワン揺れたりはしたけれど、結果的に無事かえってこれたのでそこら辺はポジティブ的感想を持っていると言ってもいい。何しろ早い。関空で飛行機のドアが閉まってから成田に着くまで1時間半もかかっていないのだ。新幹線だったらまだ静岡あたりである。しかも安い。フライトだけ見れば早い安いの文句なし(恐怖心を覗けば)だった。
問題はそれに付随する手続きやら移動がかなり煩雑かつ面倒だったことだ。まず2時間前に空港にいる時点で新幹線より遅い。そして手荷物やら身体検査やらでいちいち上着を脱いだりするのも面倒だし列に並ぶのも時間がかかる。いくらフライトが早くても着くのは成田空港で、千葉県民じゃない私からすればそこは家から超離れたド田舎にほっぽり出されたも同然でそこから帰るまでがまた時間がかかる。利便性を考えると圧倒的に不便だ。
結果的に関空についてから家に帰ったまで6時間半程度かかった。これは新幹線+在来線で家の最寄り駅まで行ってもう一度同じ行程を返してくるのと同じ時間である。つまり飛行機の方が新幹線より2倍時間がかかった。
無論、私は今回が飛行機に乗るの自体初めてだし、そこら辺の一般人より時間がかかったというのもあるだろう。プロなら搭乗手続き〆切直前に空港に来るだろうし、空港内ももっとキビキビ動けば大分短時間で移動できるとは思う。だが、新幹線は初心者でも熟練者でも所要時間は大して変わらない。駅行ってきた新幹線に乗り込んで降りるだけだからだ。そこら辺を考えると利便性はやはり新幹線に分があるのかなと思う。
ただ、これが北海道だったら大分違うんじゃないだろうか。北海道行きだったら新幹線よりも飛行機の方が断然早いと思う。函館まで新幹線で大体5時間。飛行機はフライト自体は1時間半で前後の手続きとかの時間を3時間と考えても4時間半。そしてなにしろ新千歳空港まで行けるのだ。それだったらいくら新幹線派の俺だって飛行機を選ぶ。要するに場所によって一番便利な交通手段は異なると言うことなんだろう。
これ以上書いても誰も読んでくれないと思うので結論を述べさせてもらうと、飛行機(LCC)は安くてフライトは早いけど各種手続きとかが面倒で時間がかかるのでできれば新幹線に乗りたい。だが、予算と目的地を考えて交通手段を使い分けていくのが一番便利なんじゃないかなと思った。
まあ尤も、今回はLCCと言うことでLCCなりのサービスしか受けられなかったという面もあるかもしれない。奇しくもこの日記を書いているときに友人と来年の春に沖縄に行く予定が舞い込んできた。移動手段はもちろん飛行機(JAL)らしい。もしかしたらそっちでは最高の航海ができるかもしれない。暇だったらJALの初搭乗レポも書くので読んでほしい。では私ももう眠いので今日はこの辺で。良かったらTwitterフォローしてください。
ではでは。