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好きなことテキトーに書いていく日記

【感想】大怪獣のあとしまつを見てきた話。令和のデビルマンではない。※ネタバレ注意※

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!注意!
このページにはネタバレが含まれています。ご注意ください。

はじめに。叩きたいわけではない

つい先ほど、巷で話題になっている「大怪獣のあとしまつ」という映画を観てきました。正直、微塵も面白くなかったです。1500円で2時間もうんこかゲロを眺めてきた気分です。あんまりこういう日記は書かないようにしていたのですが、この映画の醍醐味はこうして見終わった後にやーやー感想を言うことだと思うので、このページに感想を並べていきます。あくまで僕はたまに映画を観るくらいのそこら辺の人であって批評家ではないので、批評として読むのではなく、一般人の感想が書かれてるブログとして読んでください。あくまでTwitterのつぶやきのような物です。

個人的には↓の記事が大変端的にこの作品の酷さをレビュー出来てるなと思ったので紹介しておきます。

nlab.itmedia.co.jp

あと、これは言っておきたいのですが、僕はこの映画の制作陣はじめ関係者を叩くつもりは微塵もありません。世の中、クソ作品なら関係者をボロクソに叩いて良いみたいな風潮がありますが、僕としては創作活動を行って世に出せる人は全員尊敬に値するし、理不尽に言葉で殴りたくはありません。ですので、この書き込みはあくまで観た率直な感想であり、水洗便所に流されるクソみたいなどうでも良い文章だという事をご理解ください。

ちなみに見てきたのは上野のTOHOシネマ。東映&松竹の映画を東宝系の劇場で観るという謎な行為をしてしまいました。昼の上映でしたが観客は3分の1ほど。半数以上がオタクっぽい(失礼)男性で、怖い物見たさで来たんだと思います。僕もその1人です。それ以外にもおそらく主演の山田さんのファンと思わしき女性、「前評判散々だったね(笑)」と元気そうにしゃべっているおばさん2人組など、劇場にいるほとんどの人がSNSでの炎上を知っているように思えました。後述の通りコメディシーンと思わしき場面が度々ありますが観客の皆さんからの笑い声は一切なく、上映後には怒号が飛びました(後述)。

映画『大怪獣のあとしまつ』公式サイト | 2022年2月4日(金)全国ロードショー

映画全体の感想

まずはじめに簡単なあらすじを紹介しておきます。

時代は現代日本。突然上陸してきた怪獣が何らかの光によって突然死亡。その死体が千葉中部の利根川に残される。怪獣は徐々に腐敗し、悪臭を放つようになってしまう。政府はそれを片付けるべく、総理をはじめ環境大臣や秘書官である『アマネ』とともに対処を開始する。特務機関に所属する主人公『アラタ』は環境省に所属する元カノ『 ユキノ』(アマネの妻である)と協力し合い、怪獣のあとしまつ方法を考えるが・・・・・・

というストーリー。正直映画後編が意味不明すぎてまとめられるのは前半だけです。

令和のデビルマンではない

まず、僕がこの映画を観に行った理由はTwitter「令和のデビルマンという感想を目にしたからです。デビルマンとは言わずと知れたクソ映画の代名詞、2004年に公開された実写版デビルマンのことです。あれと匹敵するクソ映画が令和の時代に劇場で観れるとなると逆に気になり、今日観に行った次第です。

movies.yahoo.co.jpしかし、観た後の感想としては、これは「令和のデビルマン」ではない。

デビルマンのクソ所さんは「棒読み」「支離滅裂脚本」「なぞのアクション」の3つが有名だと思うのですが、今作は有名な俳優さんを使っていることもあって、全員演技が上手です。映像もしっかりしており、1シーンだけなら出来の良い映画です。

ただ、1シーン1シーンのつながりや意味が分からず全体的に支離滅裂。笑いどころもなければ感動シーンもないし、何を言いたくて何がしたかったのか不明瞭でした。

従って、「支離滅裂な脚本」の部分だけは共通しており、これが「令和のデビルマン」と呼ばれた原因だと思います。

ですが、デビルマンには及びません。まだその域には達していない。これを令和のデビルマンと呼んだらデビルマンに失礼です。だって俳優が何言ってるか分かるから。

僕の感想としては「脚本がめちゃくちゃで、映像の意図も観客に伝わらず、ただ俳優が演技してるだけの映画」といったところです。マジで意味が分からない支離滅裂な映像でした。

それ以外は普通。むしろ金がかかっている方なので諸々の小道具とかは出来が良かったと思います。ただしクソ映画であることは否定できません。

そう考えると本映画はデビルマンとは別ベクトルの「俳優や演技以外に原因がある」クソ映画であり、これはこれで歴史の1ページに残るような作品だと思います。

怪獣/特撮映画ではない(多分)

Twitterでは「初日に観に行くのは怪獣オタクで怪獣映画としての感想だから信頼できない」というツイートを見かけました。確かにそれは正しいと思います。

だって怪獣全然出てこないんだもん。

そもそもテーマ自体が怪獣の死んだ後の話であり、そら出てこないのは当たり前です。しかし、シンゴジラ(後述)のように”怪獣(に対応する人間を描いた)映画”といった物もあり、僕もそんな感じなのかと思ってました。

しかし、話の内容の大部分は主人公とヒロインの個人的な恋愛です。三角関係を繰り広げながら怪獣に対処するという話になっており、話の主題は怪獣ではありません。従って別に怪獣じゃなくて災害や疫病でも良かったんじゃないかなと思うところはあります。

後述しますが、個人的にはこれはコメディとして作られているんじゃないかなと思いました。映像の中には(おそらく)笑い所のようなシーンが用意されており(全然笑えない)、話の流れも終始軽めで、どちらかというと特撮オタク向けではなく一般向けに作られた作品だと感じました。ただ、僕は特撮オタクではなく一般人ですが普通につまらなかったです。

シンゴジラと比べるなという意見

最初のほうの感想ツイートは「出来の悪いシンゴジラ」「シンゴジラが捨てたゴミシーン」「シンゴジラを目指して作った結果出来たなんか」などと言われていて、それに対して「シンゴジラとは別映画なんだから比較するべきではない」という意見もありました。

僕も観る前はそれに同意していました。あくまで別映画であるし、趣旨も違う物なのだから比較なんてしないで客観的に評価すべきと。

しかし、見終わった後は比較せざるを得ません。

だって明らかにこの「大怪獣」自体がシンゴジラを意識しているからです。

まず最初にナレーションがあるのですが、これが画面全体に明朝体でテロップを出すという、庵野監督がやりそうな演出。映画内では”大怪獣をどこが管轄するか”で各大臣が揉めるシーンがあるのですが、これがシンゴジラそっくり。中盤にヤミクモという登場人物が出てきますが、パソコンに貼ってあるのがエヴァタイトル風明朝体文字だったり、終盤の総理大臣が唐突に「武器の使用を…………許可する!」と宣言するシーンは明らかにシンゴジラのパロディです。

などなど、なーんか妙にシンゴジラっぽい映像・演出が続きます。

そして極めつきは「怪獣凍結作戦」。文字通り、怪獣の死体を凍らせるという作戦が劇中で行われます。オイ、パロディじゃなくてもはやパクりじゃねえか。

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それは予告にも現れてて、みてこの画像。どこかで観たことあるようなフォントの使い方(流石にマティスEBではないと思いますが)。僕これテレビCMで観たとき、シンウルトラマンのCMかと思いましたもん。

特にこのCMはやばくて、もはやエヴァ25・26話みたいな演出になってます。


www.youtube.com

別に似た演出になるとかパロディをやるのは良いと思うんですが、ここまで公式が寄せていて意識しているのであればもう比較するなってのは無理なんじゃないかなと思いました。

従って、以下の感想ではシンゴジラと所々比較して書きます。ただし、おそらく「大怪獣」と「シンゴジラ」では目指しているところが違うので、シンゴジラこそ至極という考えではありません。

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良かった点

良かった点は、正直ほとんどありません。

・俳優がしっかり演技をしている
・CGがしっかりしている
・金がかかってそう
・劇場が空いていた

ぐらいです。1番目の俳優がしっかり演技していたという点は非常に重要で、演者が話す度に苦痛にならないというのはデビルマンよりよっぽど優れています。脚本はデビルマンと同程度です。

これだけは言っておきたいのですが、演じてる役者さん達は皆さんとても良い演技でした。問題はその演技をさせた設定と脚本と台詞がつまらなかったことであり、役者さんは指示された演技を全力で演じられたのだと思います。その演技があって私は脚本がクソなのだという事実に気づけました。だからこの映画に最後まで出演し、果てには舞台挨拶で嘘をつかずに褒めちぎるという不可能に近い事をやらされている役者の皆さんには尊敬の念を送らざるを得ません。特に主演の山田涼介さんはジャニーズタレントだということで正直演技出来ないんじゃないのと思いましたが、かなりの好演でした。

悪かった点

悪い点は腐って臭気ガスが噴出するほどあります。

コメディ映画として

まず、前述したとおりこの映画はおそらくコメディ映画です。シンゴジラと比べると空気感が軽く、登場人物達も台詞も軽いです。悪く言えばスカスカです。特撮映画をコメディとして作ればこうなるんだろうなと感じました。

例えば、どこの省庁が死体処理を管轄するかで揉めるシーン。シンゴジラでもあったこのシーンですが、ものすごく軽いです。なぜなら内閣全員が薄ら笑いを浮かべながら親父ギャグを言い合うからです。しかも会議室(には見えないが)で行われているのに立ち上がって団子になって押し合いへし合いするんです。まともに怪獣をどうにかしようと思っているようには到底見えず、まるで2次会の飲み屋で冗談を言い合ってるおっさん達にしか見えません。

(後述の現代風刺にも繋がりますが)、おそらく映像の意図としては「国のお偉いさんが一大事にこんな適当なこと言い合ってますよ」というコメディシーンだと思うのですが、これが全く笑えません。皆さんは居酒屋の隣のテーブルに座ってるおっさんグループの話をシラフで聞いて面白いと思いますか?

に下ネタのコメディシーン。これはTwitterでも言われていますが、全く笑えないどころかドン引きです。シーンとしてはみんなが真面目に話しているところに国防大臣が唐突に下ネタを挟んでくるというのが何回かあります。その度に周りのみんなが一気に冷めてBGMも止まります。おそらく失笑で笑うタイプのコメディシーンなのでしょう。だがこれが非常に下品

考えてみてください。シリアスシーンで唐突に「付き合った女に貢いだ金をS○Xの回数で割るか?(うろ覚え)」という謎の台詞を聞かされた僕たちの気持ちを。もうセクハラだよこれ。そういった下ネタが面白いのは昭和までだよ。今令和だよ。ていうかどういう意味だよその台詞は。

また、怪獣の腐敗臭に関するコメディシーンも非常に下品でした。
怪獣の匂いがすさまじく、劇中曰く「うんこの臭いがするゲロ」との事でしたが、これを世間に公表するわけにも行かず環境大臣の”間をとったら?”という台詞から「銀杏の香り」として発表されます。

まあお察しの通り、要はゲロとうんこの間をとって陰部の臭いという事にしているのですが、これが本当に下品。非常に不愉快。大の大人がうんこだとかゲロだとか、そういったことを議論する訳です。何も笑えんわ。

極めつきはキノコのシーンで、全身にキノコが生えた全裸の男性を環境大臣がみるシーンで、股間を指さし「このキノコだけ形が違う」と言います。下品!!小学生かよ。

しかも、このシーンは終盤での主人公や政府の行動動機になる(多分)重要なシーンのはずなのですが、シリアスな空気を見せといていきなりコメディシーンを入れてくる。なぜ観客がここで笑うと思うのか。面白いか?ちんこをキノコと見間違うのが?
また、映像内の股間の黒塗りモザイクが常時動きます。TRICKの矢部警部の例の頭を思い出しました。これが気が散る。多分股間に注視しろという意味なんでしょうが、シリアスシーンでそれいる?
しかも、この令和の時代に性器をネタにしたりセクハラみたいなギャグを入れてくるのは流石にナンセンスすぎます。

シリアスシーンにコメディを突っ込んでくるばかりか、下品なネタをこれだけ詰め込んでいえば流石に観ているこちらは不愉快になります。面白くないとか、クソ過ぎて笑えるとかではありません。観ていて大変不愉快になります。こればかりは制作陣の感性にドン引きです。役者さんも辛かったろうと思いました。

ですので、僕としてはコメディ映画としてみてもつまらないという感想を抱きました。

現代風刺として

これはコメディ映画だろうと先ほど述べましたが、そのコメディには現代風刺も含まれています。これがまたつまらない・・・・・・以上に意味が分からない。

まず最初の風刺は「コロナ渦」でしょう。映画冒頭、怪獣の上陸によって避難を余儀なくされたりした国民達が文句を垂れるシーンがダイジェストで流れます。そこでは「新しい生活様式ってなんだよ」などと、完全にコロナ渦を意識したような台詞が挿入されています。おそらくは現代日本の今の状況を皮肉っているのでしょう。しかし、このシーンの前に怪獣がどのような暴れ方をしてどのような生活が国民に強いられたのか全く描かれていないので、映画内における「新しい生活様式」がどのようなものなのか全く分かりません。従ってただ唐突に「新しい生活様式」などの単語が出てくるだけで、多分制作陣が無理矢理この台詞入れたかったんだろうなと思うしかありません。

次に「政治描写」。現代を舞台にした映画には政治批判がつきものです。シンゴジラなどでは形式通りにしか動かない政治家が皮肉られていましたね(全体的に有能ではありましたが)。この作品では、政治家は徹底的に「おかしな人」として表現されています。コメディ映画でありがちな「愉快でおかしい」ではなく「不愉快で(頭が)おかしい」です。

登場するのは主に内閣の大臣達なのですが、おそらく自民党の前々政権をモチーフに下であろう彼らは全員不愉快な描かれ方をしています。前述しましたが、会議がまず幼稚。多分、偉そうにしている政治家でも実はこんなに幼稚ですよという政治家への嘲笑なのでしょうが、これが大変に不愉快。さすがに内閣全員が下ネタを連発するような描き方は政治家を馬鹿にしすぎであり、何も面白くありません。ちなみに環境大臣は蓮○さんがモチーフでした。なぜ野党議員がモチーフなのかは分かりませんが、最初は政権批判なのかと思ったら現野党議員のパロディも出てきて、政治家全員に喧嘩売ってるんだなと思いました。

そして謎の「令和」パロディ。マジで唐突に出てきたこのシーンは完全に制作陣が入れたかっただけでしょう。ですが、このシーンのどこが面白いかは分かりません。

また、現代日本を舞台にしているのに自衛隊が「国防軍」として2012年に独立しているのもイマイチ分からなかった箇所です。怪獣が登場したのはおそらく今年なので、怪獣登場前の2012年になにかあったのだろうと思いますが劇中でなにも語られず平然と国防軍として話が進んでいくので不明です。今の自衛隊は軍みたいなものだという現代風刺なのかも知れませんし、首相が国防軍の身勝手を抑えられないシーンがあったので、戦中日本のパロディなのかも知れません。いずれにせよ観客の脳内ハテナを増やすだけで意味が分かりませんでした。

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怪獣・特撮映画として

これはコメディ映画だと述べました。従ってこれを怪獣映画の枠に当てはめるべきではないでしょう。しかし、怪獣を扱っている以上、怪獣がどのように扱われてどんな設定があるのかぐらいは気にすべきと思います。また、公式ではこれを空想特撮映画と銘打っています。公式で特撮映画としているわけです。従って、特撮映画としてどうなのかという点は考えるべきです。

往復ビンタを食らわせる映画

かの小林靖子先生は公式コメントで「大災害に立ち向かう素晴らしい人間の叡智に往復ビンタを食らわせる映画である。」と述べられてました。

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本当にこの通りだと思います。

一言で言うと、特撮映画への侮辱

怪獣と銘打っておきながらほとんど怪獣が出ないのは先ほど述べたように問題ではありません。しかし、怪獣の設定や扱い方が適当すぎ上、なにも説明されない。

SFというのは現実に設定を合わせるのではなく、それっぽい設定で観客が納得すれば良いという話を時たま聞きます。ゴジラは核によって生まれたと言う設定ですが我々はそれで納得しているわけです。

しかし、この作品にはそれがない。怪獣を科学的に説明したり、それっぽい設定があったりするわけでもない。「怪獣の死骸がある」としか劇中で説明されていないので、どんな怪獣なのかすら不明(おそらくゴジラのようなものを想定しているのでしょうが)。腐ったりキノコが生えたりするけども、それがどのような原理で起こってるのかも分からないし、ましてや怪獣が生前どんな活躍をしたのかすら分からない。従って私たちは怪獣がどういったモノなのか分からないまま、怪獣に対処する人の奮闘(ギャグ)を見せられているわけです。

怪獣をあとしまつする映画と名乗っておきながら観客が怪獣について全く知識を得られないままエンディングを迎えるというのは、さすがにおかしいと思います。

問題のラストシーン

そして極めつきは最悪のラストシーン。さすがにネタバレになるのでここでは言いませんが、本当に酷いものでした。「出来の悪い映画」から「デビルマンに近いな」に感想を落とした原因です。

ラストシーンではいかにも特撮っぽいシーンが描かれるのですが、これが本当に唖然としました。脈絡がないのは後述しますが、それ以上に特撮映画舐めてるだろとしか思えない演出でした。みんなこういう最後であれば感動するんだろ?よく円谷プロとか東映とかこんな感じだよな?ってノリで作られたシーンですが、本当に適当で投げやり。特撮とかよく知らないけど、みんなが名シーンっていう場面を模倣してみたよとしか思えない。設定も説明もなにも得られないまま特撮っぽい映像が流れてスタッフロールに入るわけです。

私自身は特撮映画へすごい愛着を持っているわけではありませんが、さすがにこの適当な扱いとそれっぽい映像の模倣はあり得ません。空想特撮映画なんてとんでもない。これは正直言って特撮映画への侮辱だと思いました。

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支離滅裂な脚本・情報不足な映像(これが一番酷い)

私がこの映画がクソだと感じた原因は脚本とそれに連なる映像です。これが本当に酷い。マジでデビルマン並み。

ここら辺は私自身全く理解できなかったので、どういう流れだったのかを詳しく言うのは難しいです。とにかく意味不明でめちゃくちゃ。

脚本がよく分からない

まず、脚本が意味不明です。大怪獣のあとしまつをします、というスタートのはずなのになぜか繰り広げられる三角関係。しかもちょっと不倫気味。僕はNTR嫌いなんで勘弁してください。コメディ映画だと思わせておいて突然謎の熱いキスシーンが入ったり、とにかく支離滅裂です。

そもそも、時系列や世界観がよく分かりません。怪獣がいつ出てきて何日間暴れていつ死んだのかが説明ないまま本編が進みます。主人公とそのライバルとヒロインは昔同じ特務機関の人間だったそうですが、その時には怪獣が居たのかは不明。映画冒頭で大人達が怪獣警報を「懐かしいな」と言ったり「出征が云々」と言っているので昔から居たのかも知れませんが、それにしては以前から暴れていたという描写がなさすぎる。個人的にはシンゴジラと同じような時系列だと考えていました。おまけにいつ怪獣が死んだのかも不明。本編開始数時間前なのか、何日・何年も前なのか。「このままだと腐る」という描写的にに数日前と考えた方が良いのでしょうが、それだと他のシーンとつじつまが合わず、大前提の設定すら未だに理解できていません。

そして全体的にシーン同士のつながりすらなく、なぜそういう話の流れになったのかがつかめません。

例えば怪獣を管轄する部署ですが、最初の省庁押しつけのシーンで決着つかず、その後どの省庁になったか語られません。しかし、その後環境省保有している描写が入った後、その後は特務機関が怪獣の処理を行っているシーンが出てきます。特に説明もなく変わっているようです。つながりがない。

自分が一番理解できなかったところがブルースさんの下り。途中で出てくるヒロインの兄(ブルース)は主人公のせいで母親を失い仲違いしていたらしいのですが(多分)、なぜか仲直り。その後、母親を失った原因やブルースと呼ばれる所以が説明されるかと思いきや自らを犠牲にし死亡。その後ブルースさんに関することはほとんど触れられず、伏線ぽかった描写には特に意味がなかったようです。オダギリジョーがかっこよかっただけで意味が分かりませんでした。

また、首相が国防軍の身勝手を抑えきれないという描写があったのに、首相が「武器の使用を……許可する!」(パロディ)と偉そうに宣言し国防軍を指揮するシーンがありました。もう矛盾していますが、その描写の前に「全ての攻撃指揮権は特務機関トップのアマネにある」と説明されていてそれとも矛盾してます。

こんな感じでお前さっきの描写忘れたんか?というシーンが多いです。

極めつきはラストシーン。

実は主人公には隠された正体があって、その秘密をヒロインは追っているのですが(多分)、その伏線が一切ありません。秘密がありそう・・・という描写だけ2回くらいほのめかされてラストシーンまで行きます。そしてラストに正体を現す主人公。

その姿を見てヒロインの夫で三角関係のライバル アマネは「やはりそうだったのか……」とつぶやく。

いや、どういうことだよ。
ヒントもほのめかしも伏線も何もなくいきなり正体現されてエンディングとか意味が分からんわ。全然すっきりしないし、ていうか主人公に秘密がある設定すら仄めかしがほぼなかったよ。

まあこんな感じで、全体的に話の筋道が全く理解できず、なにがどうしてこうなるのかが一切分からないまま話が進みエンディングに行きました。ですので自分もどんなストーリーだったか口で説明することが出来ません。誰か教えてくれ。解説してくれ。

説明不足すぎる映像

極めつきは映像の意味不明さです。映画というのは映像作品ですので、当然映像で何が起こってどうなっているかは観客に伝わらないと行けないべきです。しかし、少なくとも僕には何が起こっているのかが理解できませんでした。登場人物達による台詞での補完もなく、制作陣の「ほら、分かるでしょ?」という観客のことをまるっきり考えていない映像のオンパレードでした。先ほどの支離滅裂な脚本と相まって、本当に何が起きているのか分からず、この作品をクソ映画にしている最たる箇所と言えましょう。

例としてあげるならもう全部なのですが、例えば、ヒロインが提案した作戦を実行するシーン。怪獣に水をかけるシーンなのですが、その映像(CG)が本当にわかりにくく、しかもすぐに作戦後のシーンに移ります。ですので、私からしたら作戦が始まったと思ったらいきなりその後の映像に飛ばされた感じです。そして、なんだか主人公達が悲しそうにして居る様子をみて、どうやらこれは失敗した事になっているらしいぞと気づきました。しかもよく分からんがブルースさんが植物状態になっている。なんで?
CGにはちゃんと失敗した様子が描写されていたようなのですが、それを誰も説明しないので理解できません。

制作陣は結論と脚本ありきで映像作ってるから分かるんだろうけど、観客には事前知識が何もないから無言の映像見せられても何が起こっているか全く分からないわけです。

 

「ふざけるな!」の怒号。最悪のエンディング

まあこんな感じで苦痛な映像を見せられ、エンディングに入りました。私としては正直そのまま出て行きたかったのですが、マナーとして劇場が明るくなるまで席は立たないようにしているのでスタッフロールを眺めていました。そしてそれが終わったあと、明るくなるのかと思いきや、僕らの神経を逆なでするような最悪な映像が流れたのです。これは実際に劇場で観て欲しい、めっちゃ腹立つから。

この映像が終わって本当に当たりが明るくなったとき

「ふざけるな!」

と一人の男性が怒号を飛ばしました。
映画を見終わった後に怒号を飛ばす人は初めて見ました。多分よほど期待して観に行ったとか、特撮ファンだとか、純粋に1800円の損に腹が立っているかとかだったんでしょうね。もちろん、マナーとして自分の感想を、それも侮辱を大声で叫ぶのは良くないと思います。しかし、思っていたことはみんな一緒のようで、その男性の声を聞いて周りの人が笑いました。これがこの劇場で聞いた初めての笑い声。それから観客はおのおの席から出て行くわけですが、一人で来ていた人は顔がもはやお通夜状態で、中にはこの映画に親でも殺されたんかと思うほど憤怒の表情を浮かべる人もいました。まあ気持ちは分かる。それ以外の人たちは皆キツネに包まれたような顔をしていました。よく分からなかったって感じですかね。僕はと言うと、これは(悪い意味で)すごい映像を見てしまったという興奮と時間・金を無駄にしたという罪悪感でいっぱいでした。

最後に。みんな、観に行け。

あらかた観た率直な感想を書き終えたのでここら辺で締めます。

まあこんな感じで僕は1500円を払って意味の分からない映像をひたすら見せられました。そういう映画を観てこんなに不快に感じたのは初めてだし、頼むから早く終わってくれと願うのも初めての経験でそれはそれは苦痛でした。

個人的に思うこの映画の最大の問題点は突っ込みどころがないという所で、デビルマンとかだったら俳優の棒読みや謎のガンシーンとかに「おいおい、どうなっとんねん」と突っ込みを入れて楽しむことが出来ますが、この映画は悲しいことに良い俳優さんが全力でクソみたいな脚本を演技しているので突っ込むところがありません。ただただつまらない映像が続くだけでした。

ただし、CGやBGMは良かったと思いますし、関係者の方々が全力でこの作品を作り上げたのが伝わりました。しかもかなり金がかかっているのも感じました。そういった努力と金の結晶を見せていただいている点で彼らには敬意を払いたいと思います。問題はみんなで頑張った結果クソが生まれてしまったというだけで。

しかし、これはあくまで私の感想ですし、この映画の半分も意味が理解できていないので、何か大切なシーンを見落としたのかも知れません。従ってこの映画を面白いと感じる方もいらっしゃるかも知れませんし、むしろ私のような人間の方が少数派なのかも知れません。

だからこれを読んでいる方でまだ「大怪獣のあとしまつ」を観ていない方はぜひ、劇場まで行って欲しいと思います。面白いと感じる方はそのまま楽しめますし、クソだと感じる人も歴史に残るクソ映画を劇場で観たという武勇伝が出来ます。

また、あえてネタバレしませんでしたがこの映画のオチは非常に衝撃的なモノとなっています。オチだけ気になる方も是非観に行ってください。

まだ「大怪獣のあとしまつ」は上映が始まったばかりの作品です。是非皆さん実際に観て、SNS等に感想を書いたり友人と議論したりすると楽しいと思います。

僕はもう二度と見たくありません。

以上。

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